Appleは、ヒュンダイグルーム傘下に収まる起亜に対して、投資を目的とした契約金を支払う可能性がある。
東亜日報によると、その金額は40兆ウォン。現在のレートで、日本円に換算すると約940億円である。
正式契約は2月17日。先月から契約のための実務調整が進められていたが、難航したのか当初2月初めに予定されていた正式契約から一度延期が行われている。
起亜が生産を担うApple Carは、年間10万台で、生産規模としては40万台まで増産することが可能である。
CNBCによると、2024年に暫定的な生産が開始される予定だが、最終的な展開については延期される可能性がある。
情報筋によると、東亜日報の情報と同様に、ヒュンダイとAppleの間では、最終的な合意にはいたっていないことを踏まえた。その上で、Appleが別の自動車メーカーと提携を行う可能性があることも強調した。この提携は、ヒュンダイとの提携とは別のタスクとして存在している可能性がある。
Appleの自動車開発戦略に詳しい情報筋は、ヒュンダイのみが契約を結ぶことができる唯一のメーカーであるとは限らないと述べている。
また、Apple Carの第1弾は、ドライバーを乗せることを想定していないエンタープライズビークルとして登場する可能性がある。
運転手を必要としない商業用自動車として設計され、ラストワンマイルに焦点を合わせた自律型の電気自動車になるようだ。
ラストワンマイルとは、最後の区間である。宅配業に焦点を当てると、長距離用の大型トラックが近くの集配所まで荷物を届け、そこから個人宅へ小さなトラックで配送が行われる。この小さなトラックで行われる配送が、ラストワンマイルである。
ここで問題が出てくるのだ。
昨日出てきたヒュンダイのE-GMPプラットフォームは、商業用として荷物を運搬する目的に使用することが可能なのだろうか。
私であればこの選択肢は毛頭ない。その理由が、このプラットフォームの構造である。
踏ん張りと乗り心地を両立した贅沢なリアサスペンションは、構造の複雑化によるコストの問題がある上に、荷室へサスペンション部分が突出するために荷物運搬用としては不利である。そして、バッテリーが収まる部分の構造から察するに、この車両の剛性を保つために用いられる合成技術はモノコックボディ。
トラックに用いられるラダーフレームは、荷物を積載するために下部の補強で成り立っているが、モノコックボディは家屋のように四方八方から軽量な素材で支える仕組みが取られており、乗員の保護と軽量化が目的の骨組みである。重量物を搭載するには向いていない構造となる。
Appleは、E-GMPプラットフォームを用いることで乗用車を発表する可能性はあるが、上記のような不利な利点を克服して商業用の電気自動車を製造するのであれば、別のプラットフォームが必要となる。
ヒュンダイや起亜は、Appleの要求を叶えるために特別に誂えたプラットフォームを用意しているのかもしれないが、現実的な面からすると、Canooのシャシーフレームにライセンス料を支払い、製造を開始する可能性も否めなくなった。