Appleは、2020年にリリースしたiPhone 12シリーズや、Appleシリコンを搭載した新生Macよりもさらにパワフルなデバイスの開発を進めている。
2020年モデルとして登場したiPhoneやiPad 4のA14チップ、それに加えてMacのM1チップは、5nmという細かさの彫刻が施された次世代型の処理装置である。
7nmから5nmへと生まれ変わった2020年モデルの次世代チップは、信じられないほど強力な処理能力を有しており、Intel製のCPUからM1チップに変更された新生Macは爆発的な売れ行きを更新した。
しかし、Appleは、2022年モデルとして発表する予定のデバイスに、次世代型のさらに先を行くチップの搭載を目論んでいる。
おそらく、まったく信じられないほどに高性能化を果たす2022年のチップは、5nmよりもさらに細かいプロセスから誕生する3nmのチップである。
この繊細な製造を請け負うTSMCは、3nmのチップ製造を行うために、230億ドル以上の投資を行ったとされている。この金額を現在のレートで日本円に換算すると、2兆3790億円である。
経済日報は、台湾のTSMCが、3nmで製造されたチップのテストを2021年に完了し、2022年から生産に入ると伝えた。
そして、TSMCが製造する3nmチップを購入する初の顧客は、Appleの可能性が非常に高い。
3nmチップを使用して製造されるデバイスは、2022年モデルのMacに搭載されるMシリーズ(チップ) がメインで、その派生モデルとしてiPhoneやiPad向けのAシリーズの生産が開始される見込みである。
チップ名は、流れを読むと、Mac用がM3チップ、iPhoneやiPad用がA16チップになる可能性がある。
なお、3nmのチップを使用する利点は、処理速度の向上、あるいは消費電力の削減である。
TSMCは、N3アーキテクチャを利用すると、A14チップ(5nm) と比べて、消費電力を25%から30%削減することが可能だという。また、消費電力を現状のまま維持するのであれば、処理能力を10%から15%向上することが可能である。
現在、Samsungも3nm化を推し進めており、2022年の量産化が予定されているそうだ。しかし、業界筋の情報では、TSMCほど順調なペースは維持できていないようで、Samsungからの発売はTSMCから一歩遅れると予測がされている。
余談になるが、TSMCはFinFETで、SamsungはGAAと、3nmに違いはないが、アーキテクチャはまったく異なるものである。