AppleがiPhone 12シリーズと同時に発表したMagSafe充電器は、ワイヤレス充電の可能性を引き上げた充電器である。
Macの電源ケーブルから始まったMagSafeは、脱着の容易さがデバイスの利便性を向上させるものとして、iPhoneでも手放すことのできない充電器である。Macから始まったMagSafeは、現在Macでの採用を取りやめているが、あのカチッとハマり、スパッと外れる手応えを今でも覚えている人も多いのではないだろうか。
確実な充電ができるワイヤレス充電器として、iPhoneに搭載されたMagSafeは、Macに採用されたMagSafeとは異なり、接点を有さないワイヤレス充電である。しかし、ワイヤレス充電を行っているというよりは、Lightningケーブルを使用した有線接続で充電を行っているような感覚に似ている。
新しく登場した充電システムのため、これからしばらくの間は、MagSafe充電器を有効に活用することができず、困るケースが発生する可能性がある。
その困る出来事が、「充電が遅いように感じる」という問題である。そこで、きっと出てくるであろう、この悩みに対して、確認すべき点を公開しておこうと思う。
アダプタのワット数
MagSafeは15Wの急速充電に対応している。しかし、その最大出力を引き出すには、コンセントに射し込むアダプタを確認する必要がある。
もし、アダプタがApple純正の20Wアダプタ以外のものであれば、20Wアダプタの購入を検討したい。なお、出力値が15W以上のものでもMagSafeは性能を発揮しない場合がある点にも注意が必要である。
Apple純正アダプタのワット数は、コンセントへの射し込む金属が出ている面に記載されている。
MagSafeに対応のiPhone
MagSafe充電器は、MagSafe充電に対応したiPhoneのほかに、Qi規格のワイヤレス充電を搭載するiPhone(2019年モデル以前、iPhone 8からiPhone 11) の充電を行うことも可能である。しかし、Qi規格のiPhoneは、15WのMagSafe充電器で充電を行っても7.5Wの充電となるため、15W急速充電を使用することができない。
Lightningケーブルより充電が遅い気がする
発熱の問題で充電が頻繁に停止している可能性がある。
ワイヤレス充電と有線ケーブルを使用した充電を比較すると、ワイヤレス充電は有線に比べて充電ロスが大きい。損失が大きい分、それが発熱の原因となる。iPhoneは、ワイヤレス充電時にデバイスの高温状態を検知すると充電機能を一時的に停止する。
特に夏場に多い充電の一時停止は、iPhoneを涼しい場所で充電すると幾分解消される傾向にあるため、あまりにも充電が遅いと感じる場合には、充電が頻繁に停止していないかを確認した方がいいだろう。
発熱を軽減するには、iPhoneの背面を上にして、熱の発生源を空気に触れやすくする。
それでも問題が解決しない場合は、充電器の設置場所に気を配りたい。たとえば、部屋の角へ充電器を設置している場合には、ほかの場所への移設を考えるべきである。
空気の流れがないところでは効率的な冷却が行われない。涼しい場所に置いたとしても、部屋の角など、空気が停滞するような場所では放熱しづらいのだ。
部屋の空気は、扇風機やサーキュレーターを使用していなくてもゆっくりと動いている。しかし、部屋の角の部分は、空気の流動量がほかの部分に比べて少ない。流動量は、インテリアの配置なども関係するため、一概にここがいいとはいえない。使い勝手のいい場所を別に見つけて、一度試してみてはいかがだろう。