BMWは、Apple CarKeyの拡張バージョンを将来発売の自動車に取り入れると発表した。
ウルトラワイドバンドに対応したBMW Digital Key Plusは、これまでのCarKeyのように、iPhoneを取り出して使用するのではなく、ポケットやバッグにiPhoneを忍ばせておけば、施錠や解錠、エンジンの始動を行うことが可能というもの。
単純にスマートキー(BMWリモートコントロールキー) と同様の利便性をiPhoneが手に入れることになる。
BMWは、AppleがiPhoneのシステムにCarKeyをリリースして以降、様々なグレードにCarKeyの機能を対応させた世界で唯一の自動車メーカーである。しかし、いかんせん不便を感じる部分があった。それが、通信距離である。
5シリーズから始まったデジタルカーキーシステムは、iPhoneでPayPayやApple Payなどに利用されている近距離無線通信(NFC) を利用しているため、自動車への使用時もiPhoneやApple Watchを車両側の受信部に近づける必要があったのである。
今回発表されたデジタルキーPlusは、これまで不満の多かった近距離無線通信は利用せずに、ウルトラワイドバンドを利用した通信を行うことで成立しているという。
ウルトラワイドバンドとは、広帯域幅の短距離無線通信プロトコルで、空間認識を備えた通信が可能なものである。
少なからず長距離まで到達する電波に、セキュリティの問題を考えているはずだが、正確な空間認識を備えた通信は、無線信号が傍受されたとしてもリレー攻撃による盗難を不可能にするようだ。
▼リレーによる盗難を捉えた映像。屋内のスマートキーに近づく犯人と、車のドアノブに近づく犯人。
デジタルキーPlusを最初に内蔵するモデルは、BMW iX。SUVタイプの電気自動車である。
iXの発売は、2021年後半にヨーロッパで発売されることが予定されており、それを皮切りに2022年初頭には北米での発売も始まるという。
なお、日本での発売は、どうやらヨーロッパと同時期のようで、既に予約注文を受け付けているという。予約注文はBMWオンラインストアにおいて開始されている。納車は、2021年秋以降に、早い段階で納車されるようだ。
前後1基ずつ設けられた高出力モーターは、最大500馬力の出力を有するもので、0-100km/h加速は5秒未満だという。航続可能距離も600km以上が確保され、10分の充電で120kmは走行可能である。
なお、デジタルキーPlusに対応するiPhoneは、2019年モデルのiPhone 11シリーズ以降である。Appleは、U1チップを搭載したデバイスで、ウルトラワイドバンドのサポートを開始している。
U1チップに関しては、Apple Watch シリーズ6にも搭載されているため、もしかすると今後はApple WatchもデジタルキーPlusに対応する可能性がある。