数年後、次世代 iPhoneが安くなる可能性 / Appleが自社製5Gモデム開発に着手


Appleは、通信契約を必要とするiPhoneや、iPadのセルラーモデルに、自社製の通信モデムを搭載する可能性がある。

数年後、次世代 iPhoneが安くなる可能性 / Appleが自社製5Gモデム開発に着手

Bloombergが伝えるところによると、Appleのハードウェア技術担当上級副社長Johny Srouji氏は、Appleの従業員を集めたタウンホールミーティングで、次のように述べたという。

今年2020年に、当社は最初の内蔵セルラーモデムの開発に着手しました。これはもうひとつの戦略的転換を可能にするものです。長期に及ぶ戦略的な投資は、当社の製品に将来の革新的な技術を取り入れる上で、豊富なパイプラインを確保するという重要な役割を果たします。

このコメントを受けて、ニューヨークの株式市場ではQualcommの株価が4.4%も下落したという。

Qualcommは、アメリカの通信技術および半導体の設計開発を行う大企業で、Appleに5Gの通信モデムなどを提供するサプライヤーである。

Srouji氏は、Appleは2019年にIntelのモデム事業を10億ドルで買収しており、自社製のセルラーモデムを開発する環境として、ハードウェアとソフトウェア両面のエンジニアチームを構築することができたと述べていた。

現時点で自社のモデム事業がリリースしているチップは、Apple Watchに搭載されているWシリーズや、iPhoneが正確な位置情報を掴むために使用されているウルトラワイドバンドチップ(U1チップ) など。

ちなみに、Appleが自社製の5Gモデムの開発に着手する切っ掛けになった出来事は、Qualcommとの法廷闘争が大きく起因している。

その法廷闘争は、契約に関するもつれである。Appleは、iPhoneにQualcommのチップを使用していたが、今後の方向性としてQualcommにロイヤリティの引き下げを求めた。しかし、Qualcommは、Appleに対して、数年にわたり独占契約することを強制したという内容である。報じられた内容では、AppleはQualcommへの特許使用料の支払額を引き下げるように求めたところ、iPhoneに使用するモデムを2011年から2016年まで独占的に使用することを条件にしたというものである。

独占ライセンス契約終了後、AppleはQualcommのほかにIntelのモデムの採用し、2019年にはIntelのモデム事業の大半を買収した。

モデム事業の買収を切っ掛けに、Appleは自社で5Gモデムを製造するために動き出したはずである。しかし、Appleが2020年モデルとして世に送り出したiPhone 12シリーズには、Qualcommの5Gモデムが搭載されている。残念なことに、Appleの5Gチップは、開発が間に合わなかったのである。

Appleは、5GチップをiPhoneに搭載する必要があり、必然的にQualcommとの和解を行った。長期にわたって繰り広げられた法廷闘争の結末は、Appleからすれば苦肉のものだったのだろう。この和解により、Qualcommは再びAppleのサプライチェーンとして数年の納入契約が結ばれている。

2020年モデルとして登場したMacは、Intel製の処理装置がAppleシリコンへと置き換えられて、性能も然る事ながら製品としての販売価格が非常に抑えられた。ロープライスで販売に踏み切ることができたのは、サプライチェーンへのロイヤリティが関係している可能性が高い。

Qualcommのモデムは、Appleが法廷で主張したロイヤリティを見る限りでは相当な額である。Appleが証言した内容をつまむと、iPhoneには十数社から特許を借り受けているが、Qualcommからのライセンス使用料は、ほかのライセンス使用料と比べて、少なくとも5倍以上の支払いを要求すると主張している。

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