Appleは、例年恒例としているiPhoneのアップデートを2021年にも計画していることが見込まれており、その計画上にある次期iPhoneのフラッグシップモデルは、iPhone 12Sの名前が与えられて登場する可能性がある。
BloombergのMark Gurman氏は、2021年モデルのiPhoneには、これまで伝統的に用いられていた「S」の文字が末尾につく可能性を伝えている。
iPhoneの名前は、フルモデルチェンジを迎える年に数字の部分が繰り上がり、翌年には軽微な仕様変更を経たマイナーチェンジモデルが、名前の末尾にSの文字を付け加えられて登場していた。
このモデル名が乱れ始めたのは、2016年モデルのiPhone 7が登場してからである。iPhone 7の翌年に登場するモデルは、本来であればiPhone 7Sとなるはずが、iPhone 8の名前が与えられて登場した。しかし、iPhone 8はフラッグシップの座を明け渡し、代わりに登場したフラッグシップはiPhone X (10)である。全画面ディスプレイを搭載したiPhoneの幕開けである。そして、その翌年にはiPhone XSが登場。Sの文字が復活したのである。
ただ、その後に登場したモデルは、iPhone 11とiPhone 12シリーズで、その間にはSがつけられたモデルの発売は行われていない。
Gurman氏は、情報元から仕入れた情報や、それらを精査した上で、2021年モデルには大きなアップデートはなく、Sがつくとしたのだろう。
しかし、がっかりする必要はない。2021年に、マイナーアップデートとして登場する見込みのフラッグシップモデルは、見えない大きなアップデートが隠されている可能性がある。
それが、画面内に埋め込まれたTouch IDセンサーの存在である。
顔認証のFace IDを搭載したiPhoneは、新型コロナウイルス感染症の広まりで、装着を余儀なくされているマスクが原因で、本来の性能を発揮できないことが多くなった。
Appleの技術者は、マスクを装着した状態でもFace IDを実用的に使用できるように改良を加えることは可能と考えていたようだが、セキュリティ面での性能を落とす必要があり、妥協すべきではないと判断していたようだ。
そこで代替案として持ち上がったとされる技術が、Qualcommの次世代型指紋認証技術である。
Appleは、iPhoneの有機ELディスプレイの下に、指紋認証のセンサーを搭載してテストを繰り返しているとされており、問題なく成果が得られている場合には、2021年モデルのiPhoneに搭載される可能性がある。
この技術は、2019年に話題になっていた技術で、Gurman氏は2020年から2021年のモデルに搭載される可能性を予測していた。
この新しい指紋認証技術は、画面内に内蔵するセンサーが登録された指紋情報と照合するというもので、指紋の認証を行う機械部分が、デバイスの表面に露出していない特徴を持っている。
なお、2020年モデルのiPad Air 4は、電源ボタンに指紋認証技術を搭載して登場したが、同様の認証方法は、フラッグシップモデルのiPhoneではなく、それの廉価版として登場するエントリーモデルに搭載が予定されている可能性がある。