沈静化を見せることのない感染病の広がりに、私は常にアルコール消毒液を持ち歩いている。
お店の入り口に設置している消毒液を信用していないからだ。
その理由は、効き目よりも経費を優先して水で薄く薄く希釈している店舗をいくつも知っていたり、コロナウイルスに有効なアルコール濃度を知らず、その濃度を有さない消毒液を設置していたりする店舗を何店舗も知っているからである。誰も信用してはいけない。
この濃度の問題は、知人の店であり、経営者の口から会話として聞いているため、その希釈の程度や無効な液体であることは信用しているし、それを知っていても許せない人柄であるために店舗名は明かさない。
自衛手段として私自身が消毒液を持ち歩けばいいだけである。
そこでアルコール消毒液の自作である。
私が市販の消毒液を購入しない理由
自作の理由は、「殺菌」や「ウイルスに効果」のような謳い文句を掲げている商品に、アルコール濃度が記載されていなかったり、記載されているものは高価だったりすることが理由である。つまり、半分は信用していない商品。
どうせ信用できないならば、消毒液を自作してしまえば満足がいくだろう。
【注意】無水エタノールはメーカーにより成分が異なる
そこで登場する液体が、無水エタノールである。
無水エタノールは、純粋なアルコールで、この液体を水道水で適正値まで希釈して、スプレーボトルに入れて持ち歩く。
ここで問題が出てきたのだ。
私が普段使用しているものは、健栄製薬の無水エタノールである。
様々なものを指紋一つない状態で撮影する職業に従事していた私は、とくに機械類の撮影で無水エタノールを使用していたこともあり、健栄製薬の無水エタノールを箱買いしていた。
健栄製薬のエタノールは非常に優秀で、エタノールの含有量が99.5%。
しかし、在庫がなくなり、Amazonで健栄製薬の無水エタノールを補充しようとしたところ、妙に価格がつり上がっており、別の無水エタノールを購入したのである。
問題は、その無水エタノールが、ほかのものを含んでいたことである。確かに無水であることには間違いがないが、主成分のエタノール量が85.7%しかなく、希釈をするのが非常に面倒なのだ。
無水エタノールを水で希釈する理由
水で希釈をする理由は、手への散布後、それを塗り伸ばす際に、滑りをよくするためである。
エタノールのみではギスギスして伸びることはないが、水を含ませることで手全体に滑らかに伸びる。
コロナウイルスに有効なアルコール量は、学校法人 北里研究所が実験を行った結果、最低ラインが50%であることが分かっている。
そのため、純粋な無水エタノール製品であれば、安全マージンを考慮して60%のエタノールに、40%の水を混ぜることで、手に伸ばしやすい比率を作ることができる。
しかし、混ざり物が多い無水エタノールでは、希釈する水の量を少なくする必要があり、手にまんべんなく塗り伸ばすことが難しい。
多く吹き付ければ問題ないかもしれないが、これからの季節は静電気との戦いである。車の車内や、玄関先で、換気をせずにお構いなく多量のアルコールを吹き付けていると、不意に訪れる静電気により爆発をしかねない状況が作られてしまう。
無水エタノールから作るアルコール消毒液は、エタノールと水の比率を護り、混ぜるだけの単純な混合液である。しかし、主成分とする無水エタノール製品が、純粋なエタノールではない場合、不意に訪れる困難に立ち向かう必要が出てきたり、無水エタノールだからという理由で、内容物の確認を怠ったりする可能性もあるはずである。希釈量の間違いは、消毒として機能しない可能性が大きく、非常に危険な行為である。
もし、現在無水エタノールを希釈して使用している人がいるのであれば、エタノールの組成を今一度確認してみてはいかがだろうか。また、これから作成する人は、上記の注意点を十分に確認した上での無水エタノール購入をお奨めしたい。