Appleは、拡張現実や仮想現実の世界を具現化するため、目標に向かって具体的に前進しつつあるようだ。
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アナリストのMing-Chi Kuo氏の予測によると、Appleは噂として長い間流れてきた拡張現実ヘッドセットを2022年の半ばに発表する。
現在、Appleが取り組んでいる開発目標は大きく分けると3つで、2022年のゴーグル型の発表、2025年にメガネ型の拡張現実を現実に、その5年後の2030年から2040年にはコンタクトレンズタイプのリリースを目標にしている。
Kuo氏によると、メガネ型とコンタクトレンズ型に関しては、実世界に必要な情報を追加する拡張現実型として開発が進めている可能性が高く、ゴーグル型に関しては映画レディ・プレイヤー1のように、実世界とは完全に離れた仮想現実の空間を提供するものとして、その開発が進められているようだ。
ヘッドセットのプロトタイプは既に完成しているそうで、その重量は200から300g。長時間装着するものとして開発を進めるヘッドセットは、最終目標として重量の軽減が課題に盛り込まれており、最終的には100から200gまで余分な重量が削られる。この軽量化に関しては、技術的な問題を克服することが最大の難題で、もしかすると新素材セルロースナノファイバーを採用する可能性もある。
この新造材の採用は、私の憶測でしかないが、Appleがデバイスに採用する要素としては十分なものである。植物由来の高強度繊維は樹木を利用して作られるもので、従来の高強度プラスチックのような素材と比べて環境への負担が減る可能性が高い。東京大学と東亞合成R&D総合センターが共同研究した新素材は、鉄の5分の1の重量で、鉄の5倍の強度を有する。省資源化や二酸化炭素排出量の削減にも貢献できるもので、デバイスの薄型化や軽量化を目的とするならば、良好な材料になる可能性がある。透明に作ることもできるセルロースナノファイバーは、熱を加えた際の膨張率も50分の1程度で石英ガラスと同等のものであり、骨格やレンズ部分など、要所要所への採用も期待ができる。
少々話が逸れたが、仮想現実を具現化するヘッドセットの販売価格は、手の届く範囲として1,000ドル前後と予測されている。日本円に換算すると、現在のレートで約108,000円。iPhoneの購入金額よりも若干安めの設定を行うことで、iPhoneを更に革新的に使用するウェアラブルデバイスとして売り出したり、現在のiPadの代わりとして、ユーザーに新たな世界観を提供したりと構想を描いているのかもしれない。