Ankerは、持ち運べるスピーカーAnker Soundcore 3をリリースした。
バッテリーを搭載したAnker Soundcore 3は、Anker Soundcore 2の後継モデルとして登場したポータブルスピーカー。その見た目は、ぱっと見の印象こそ変わらないものの、中身は大幅な進化を遂げて発売された。
注目すべき点は、内蔵するドライバー。つまりスピーカーを鳴らす肝心な心臓部に、大きな変更が加えられている点である。
これまでの2は、合計で12Wの出力を発揮するものだったが、新しく登場した3は、16Wのパワーを手に入れた。ハイパワー化で気になるバッテリーの消耗具合は、新旧で違いはなく、どちらも24時間の連続再生に対応している。
採用されたドライバーは、チタニウムドライバーである。非常に軽く強度のあるチタニウムドライバーは、お察しの通り、伸びやかな高音域の再現性に長けたもので、40kHzという帯域までをカバーする仕様となっている。
コンパクトなスピーカーシステムで不満を抱えることの多い低音域の再現性については、2でも採用されているリアルタイム低音強化BassUpテクノロジーに加え、3からは新たにデュアルパッシブラジエーターを採用。柔らかく包み込まれるような低音を再現している。
また、3ではSoundcoreアプリに対応したことで、イコライザーを変更することが可能となっている。この機能はあまり過度の期待をすべき点ではないが、ベースとなるスピーカーシステムを後押しし、素性の良さを更に鮮明にすることは間違いないはずである。
なお、イコライザーのデフォルト設定が不安な人もいるはずである。しかし、こちらもまったく問題なさそうだ。希にショボいセッティングがなされているものもあるため、波形を確認したところ、ポップスからロック、EDMやジャズまで引き締まった音を奏でるチューニングが施されていることが分かった。中音域の一部が突出する形で少々持ち上げられているのは、ボーカルの中音域に厚みを持たせて肉声に近づけるチューニングで、私もよくやる手法である。低音域に関しては、小型のスピーカーシステムだからか、持ち上げを大胆なまでに大きく取っているが、包み込まれるような低音部分に関しては若干控えめのように感じる。高音域は、チタニウムドライバーとの兼ね合いもあるかのように抑え気味で、美味しいところを引き出す味付けがなされているようだ。きっとSoundcoreの特性をよく知った人がチューニングを施しているのだろう。
接続には関しては、一部の人に注意が必要である。それが、AUXポートが廃止。AUXは、外部入力用の有線ポートである。これまでケーブルで接続をしていた2のユーザーは、3に買い換えると同時に有線接続の道を絶たれることになる。
Bluetoothでの接続は、これまでと同様にBluetooth 5での接続が可能である。古い規格のBluetoothと比べて、送るデータ量が増えたBluetooth 5は、スピーカーから奏でる音の再現性を左右する部分であり、退化していないことを嬉しく感じた。
ほかの部分で変更された箇所は充電接続端子。これまで充電を行うにはmicroUSBで接続する必要があったが、3から採用されたポートはUSB-Cである。昨今多くのデバイスに採用されているUSB-C端子は、充電時の互換性を考えると大変ありがたい仕様変更となる。
Soundcore 2の評価は1万件を超えており、星5段階中4.5をキープしている。そのスピーカーが、退化することなくバージョンアップが施されたと思うと、購入に踏み切っても間違いなさそうである。