Appleが2020年9月15日の発表イベントで満を持してお披露目されたiPad Air 4。iPad Proとの比較を行うと、実はかなり堅実なモデルのように思えてきている。
どちらを買うのかで迷っているのであれば、間違いなくiPad Air 4をお奨めしたい。
結局のところ、iPad Air 4と、iPad Pro 11は何が違うのかといえば、iPadというカテゴリに属する技術の集大成がiPad Proであり、それをベースとして最新のものを取り入れた割安で高性能なモデルがiPad Airである。
つまり、iPad Proのいいとこ取りをしたコストパフォーマンスに優れたデバイスがiPad Airとなる。
例えば自動車である。分かりやすく有名なメーカー、ベンツとトヨタという2つのブランドを取り上げてみる。世の中には最先端のものを贅沢に搭載するベンツという高級車ブランドが存在するが、そこで熟成された新しい技術は、ほかの庶民が手にするトヨタという自動車メーカーでも採用されて、多くの人が贅沢すぎず、しかし最先端で高性能な新しいモデルを手にできる。
iPad ProとiPad Airの存在は、正にその様な感じであり、現実味を帯びた最先端のモデルを手にした方が堅実であり賢明な結果になるのではないかと考えている。
iPad ProもiPad Airも使える期間としては同じようなものである。技術的にもよく似たモデルであり、ベースとなる設計もほぼ同じである。どちらもUSB-Cで接続でき、スマートコネクタを搭載している。Apple Pencil2にも対応しており、遜色がないのである。
強いていうならば、iPad Proはリリースから年月が経っており、iPad Airは最新となる。この違いは大きく、処理の速度に影響してくる。最新のA14チップは、爆速といわれるプロセッサで、それを搭載しているのがiPad Air 4となる。処理が早ければ、iPad Proよりも有利に働く可能性を秘めている。
処理速度で優れるiPad Air
iPad Air 4には、iPad Proよりも確実に早い処理装置(プロセッサ) が内蔵されている。iPadを動かす心臓であるプロセッサは、そのデバイスの性能を牽引する重要な部分となる。
搭載されるプロセッサは、最先端のA14チップが内蔵されており、これは5nm(ナノメートル) という細かな処理で成形されるプロセッサである。従来の7nmよりも細かく、この精密さがこれまでで最も強力な処理装置へと誘う要となっている。
iPad Proは、A12Zチップが搭載されており、チップの性能だけを見れば処理性能はA14の1/2以下ではないだろうか。その根拠となるものが、Appleが示した処理の性能値で、1つ前のA13と、今回のA14を比較した性能比では、その時点で2倍の差が生まれていたのである。
Appleは、年々性能を高めたプロセッサを採用している。毎年買い換えることが前提であれば問題ではないが、購入してから長く愛用するのがiPadの特徴である。年月が経つにつれて最新のものとの開きが大きくなる処理能力の差は、将来的なコストを考えると悩みどころである。処理能力が大きくなれば、それに伴いアプリの高度化が実現可能となり、アプリも年々進化する。
つまり、処理能力は常に優先しなければ、年数が経っても対応できる処理である望みが薄くなる。私としては、この時点で最新のプロセッサを搭載するモデルをお奨めしたい。
デザイン面で見る
iPad Air 4は、iPad Pro 11と同じ見た目をしている。実質的に骨格は同じであり、幅と高さはまったく同じものとなる。異なる部分を探すとすれば厚みであり、iPad Proが5.9mmなのに対して、iPad Airが6.1mmとなっている。
厚みが増した分、重量が増しているのではないかと思われるが、実はiPad Airの方が13gも軽量なのである。
画面表示
画面サイズに関しては、こちらもほぼ同じとなり、iPad Proが11インチなのに対して、iPad Airが10.9インチである。
解像度の比較をすると、iPad Proが2388 x 1668ピクセル、iPad Airが2360 x 1640ピクセルとなる。
画面の明るさを表す最大輝度に関しては、iPad Proが600nitに対して、iPad Airが500nitと、こちらもiPad Airが若干低い値を示している。
画面表示で一番異なる部分は、ProMotionテクノロージーをサポートしているのかどうかという点となる。120Hz、単純にいってしまえば1秒間に120枚の画像から構成された動画を再生できるものがProMotionテクノロージーで、非常に滑らかな映像を楽しむことができる。このテクノロジーは、iPad Airに搭載されていない。
iPad Airは最大60フレームと、iPad Proの半分のフレームレートで表示できるディスプレイパネルを搭載している。
しかし、これが不満のポイントになる人は少ないのではないだろうか。一般的な動画は30フレームで構成されており、多くても60フレームである。120フレームという動画は非常に滑らかではあるが、実際にそれを作成する人でなければ、それを普段から活用する手段はあまりない。つまり、現状ではプロ向けとなるものがProMotionテクノロージーの120Hzとなる。
YouTubeを美しく見たいのであれば、60フレームが表示できるiPad Airで十分である。だいたいの動画がフルHDであり、4Kですらなく、30フレームが一般的。
カメラとスピーカー
カメラに関しては、iPad Proが2眼レンズと、空間を立体的に捉えることのできるLiDARスキャナーが搭載されている。フラッシュには より自然な色合いを表現できるTrue Toneが採用されている。
それに対してiPad Airは、LiDARやフラッシュは内蔵されておらず、レンズは広角となる単眼レンズのみである。このレンズはiPad Proのものと同じものが採用されており、12メガピクセルで撮影できるものとなる。
スピーカーに関しては、iPad Airが2スピーカーなのに対して、iPad Proが4スピーカーを採用しており、より豊かな音を奏でるものとなっている。
スピーカーに関しては軍配が上がっているように感じられるが、iPad Airは横向きで使用した際もステレオサウンドを成形することが可能である。しかし、どちらのiPadも内蔵されているスピーカーの大きさを考えると、AirPodsなどの方が確かなものになる可能性がある。
問題はカメラである。iPadでカメラを使用することが頻繁にあるのであればiPad Proを購入する切っ掛けになりそうだ。しかし、iPhoneを持ち歩いているのであれば、iPhone 12 Proを購入することも検討材料になるのではないだろうか。
今秋にもリリースが予定されているiPhone 12シリーズは、ハイスペックモデルとなるiPhone 12 ProとiPhone 12 Pro MAXに、LiDARスキャナーと2眼、あるいは3眼レンズが採用されているといわれている。
カラーの選択肢
iPad Air 4は、カラーの選択肢が豊富である。シルバーやグレイ、それにローズゴールドや、新しく追加されたグリーンとブルーも淡い色合いで美しい。
セキュリティの認証方法
1つ問題点を挙げるとすれば、iPad AirはTouch IDを搭載していることであり、iPad ProはFace IDとなる。
顔認証の便利さはご承知の通りで、指の状況によって認証が通らない指紋認証よりも優れている。だがしかし、昨今感染病の対策としてマスクを常用している人も多く、指紋認証であるTouch IDが見直されてきている。
コストの面からFace IDを諦めて、Touch IDを搭載しているiPad Airは、現状では有利な方向に動いており、デメリットとして捉えるのは間違っているのかもしれない。
なお、Touch IDは、新しく採用された電源ボタンに内蔵されているため、電源ボタンを押して起動すると共に指紋認証が完了する。
容量の問題
iPad Airには最大256GBの容量が設定されており、iPad Proの最大容量は1TB(1000GB) である。
iPad Airは、64GBと256GBの2択から選択でき、iPad Proは128GBから始まる容量で256GB、512GB、1TBの選択肢がある。
予算との兼ね合いもあるが、必要としている容量が、それで問題のないものであるかは重要な要素である。