Appleは、新しいiOSにアップデートしたiPhoneに対して、インカメの画質向上を図った。
具体的には、Appleのビデオ通話機能であるFaceTimeに関するもので、iOS 14.2にアップデートした旧型iPhoneが、FaceTime HDに対応したというもの。
あまりにもひっそりと行われたアップデートは、MacMagazineによって発見された。
FaceTime HDの「HD」は、1080pというフルHD画質のビデオ通話を指すもので、これまで720という低画質で行われていたビデオ通話が、高画質なビデオ通話に対応した。
アップデートの対象になったiPhoneは、iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone X、iPhone XR、iPhone XS、iPhone XS、iPhone SE(第2世代)、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max。
2020年モデルのiPhone 12シリーズもフルHDのFaceTime HDに対応しており、今回のアップデートを受けて、大半のiPhoneユーザーが高画質のビデオ通話に対応したことになる。
現在4Kなどの高画質が主流となる中、FaceTimeがフルHDの画質を利用する理由は、技術的な問題というよりも回線の問題が大きい。
画質が上がれば、それに併せて送受信するデータの量が大きくなる。その大きくなったデータの送受信を行うには、4Gという従来の通信規格では速度が少々役不足だったのである。
2020年モデルのiPhone 12シリーズは、これまでのネットワークよりも速い5Gネットワークに対応した。それに併せるように、旧型のiPhoneにもフルHDのFaceTimeが与えられた理由については、昨今の外出自粛で需要の高まりを見せるビデオ通話に配慮した可能性と、iPhoneの買い換えに繋がる可能性を秘めた販売戦略が見え隠れしている。
見え隠れした販売戦略は、通信環境によるシステム制御である。FaceTimeに関しての制限は設けられていないが、FaceTime HD(フルHD) には通信速度による制限が設けられており、旧型のiPhoneは、Wi-Fi通信の時のみフルHD画質でビデオ通話が可能となっている。iPhone 12シリーズは、5GまたはWi-Fiに接続された環境下でフルHDのビデオ通話が可能である。
悪い意味でみれば、試用版としてアップデートされた旧iPhoneだが、用途次第では十分ありがたいアップデートである。
これからの時期であれば、年末年始の帰省を自粛する人も多く、仕事に加えてプライベートでも高画質なビデオ通話ができることはありがたい。
なお、FaceTime HDとFaceTimeの切り替えは、iPhoneが自動で行うため、設定を切り替える必要はない。