iPhone 12の一部タイプに、ボディの色あせが起きているようだ。問題が起きたタイプは、iPhone 12シリーズの中でも最もスタンダードなiPhone 12。
svetapple.skによると、色あせの問題が発生したiPhone 12は、クリアケースに入れた状態で使用されており、指などの摩擦がボディの変色に繋がった可能性は低いと伝えている。
原因は不明とのことだが、私はこの現象を見た瞬間に、ある出来事を思い出した。それは自動車の塗膜(塗装面) である。
iPhone 12シリーズの外装に採用された金属部分は、モデルによって異なる。その材質は、iPhone 12とiPhone 12 miniにアルミ素材が用いられ、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxにステンレスが採用されている。
自動車や自動車の塗膜に興味のある人であれば、もうお分かりだと思うが、この現象は磁力が影響している可能性がある。
アルミ素材の上に水性塗料を噴きつけてカラーリングを行った場合、塗料の色を調合する際に用いられたベースカラーによっては、磁力の影響を受ける場合があるのだ。
一番分かりやすい塗装であれば、パールといわれるクリア塗装をベース塗装の上塗りとして使用した場合である。
光が当たるとキラキラと輝くパール塗装は、クリアの塗料の中に金属フレークを混ぜたものである。この塗料は、塗装が完全に乾いた状態でも磁力に影響を受ける割合が強い。例えば、磁石で貼り付けるタイプの初心者マークや、「子供がノリに乗っています」ステッカーをボディから剥がすと、その部分のパールは光を反射せず、全体的に黒ずんだ印象を与える。
この現象は、様々な向きに固定されて輝いていたパールが、磁力の力で同じ方向を向いてしまったことによって引き起こされるもので、しばらくすると元の塗装状態に戻る。
明るい色合いに仕上げるために混ぜられたベース塗料に、磁力の影響を受けるものが含まれている場合、ベースとなるカラーリングの色合いにも変化を与えてしまう可能性がある。磁力によって混ぜ合わされたカラーが分離して、引き寄せの強いの部材(濃い色合い) が磁力側に沈下する可能性も否めない。
iPhone 12シリーズの塗装面が変色することに関しては、それが磁力の影響を受けているものなのか、紫外線の影響を受けたものなのかについては不明である。しかし、ガラスで圧着された背面のカラーリングが色あせていない(圧着すると塗装が動かないため色が変わらない) ことや、そのほかの材質が使用されている部分の色に変化がないことを考えると、磁力が影響している可能性はある程度大きいように感じる。
しかし、このiPhone 12のグラーデーションはオシャレである。単色のiPhoneが時と共に色合いを変化させる。このことを予め知っておけば、楽しみの1つになりそうだ。