自動車を運転する際は、シートやステアリング(ハンドル) の位置を調整するが、このポジション調整は非常に面倒な作業である。1人の使用者が運転する自動車はともかくとして、ほかと共有の自動車はどうだろう。
Appleは、この面倒な儀式的作業を簡略化し、どの自動車のシートに着座しようとも“いつものポジション” に自動調整するシステムの導入を検討している可能性がある。
この発端となったものは、Appleが取得した特許である。2021年1月26日付で取得の特許は、シートポジションの最適化を自動で行う機構の説明をしている。
「自己構成可能な環境の自動構成」と名付けられた特許は、1つのデバイスが保持している内容を元に、別の物体の構成を自動で調整するというものである。さらに、この調整機能は、1つ目の調整で得られた情報を元に、別の物体の調整範囲を計算し、最適な調整が行われる。
つまり、使用者は、どの自動車に乗ってもシートポジションやハンドルの位置などは、ユーザーが決めた最適なポジションに最適化され、常に快適な状態が保てるという内容である。
ほかの人には運転させない愛車には不要な装備かもしれないが、家族で共有する自動車やレンタカーの存在を考えると、非常に便利な機能である。
現在販売されている一部の自動車には、電動のシートやハンドルが装備されており、こうした自動車にはハンドルの位置やシートのポジションを記憶して、ボタン1つで設定されたポジションへ復帰することが可能である。
しかし、従来の自動車の設定は、その自動車のみが記憶する情報である。記憶できる数も基本的には2パターンの設定のみで、不便を感じる部分がある。
特許の概要欄には、次のように記載されている。
車両の調節可能な固定具を再配置するための携帯型電子デバイス。この携帯型電子デバイスは、通信モジュールとプロセッサ、プロセッサに第1の車両に、固有の第1の構成設定を受信させるコンピュータプログラム命令を記憶するメモリを含む。前記の第1の構成設定は、第1の調整可能な好ましい位置を記述する。第1の構成設定を第2の車両固有の第2の構成設定に訳出し、第2の車両内の第2の調節可能な固定具を初期位置から好ましい位置に基づいて調節する。調節された位置に第2の車両を調整するために、通信モジュールを使用して第2の車両に第2の構成設定を送信する。