Appleは2020年7月28日、小さなスピーカーでは表現しづらい低音域を改善する特許を取得した。
この特許は、オーディオコンプレッサーを使用したマルチパスオーディオから得られる刺激というもので、一般的なスピーカーとは異なるシステムとなっている。
Appleが取得した特許の概要欄を確認すると、下記のような内容となっている。
オーディオの信号をユーザーに配信するための装置は、空気伝導トランスデューサおよび骨伝導トランスデューサが含まれる(トランスデューサは変換器) 。空気伝導トランスデューサは、オーディオ信号をユーザーの耳で検知できる空気振動に変換するためにこうされている。骨伝導トランスデューサは、空気伝導トランスデューサで変換される信号とは別の成分をユーザーの頭蓋骨振動に変換するように構成される。この装置は、入力されるオーディオ信号を単体あるいは複数のフィルターを使用して、高周波、中周波、低周波成分に分離して生成する。中音と低音の成分は、骨伝導でユーザーに配信され、高音成分は空気伝導により配信される。
2017年5月26日に出願されたこの特許は、おそらく次世代型のAirPodsに搭載されるのではないかと推測している。
空気で伝える従来のスピーカーは、サイズを小さくすればするほど低音の再現が難しく、AirPodsやAirPods Proといったイヤホンタイプともなれば豊かな低音を表現することは困難である。
逆に、骨伝導は低音や中音を得意としており、高音を苦手としている。高音域を得意とする従来の小型スピーカーに、中低音域を得意とする骨伝導の組み合わせは、音を堪能する新たな可能性を示唆するテクノロジーとなり得る。
また、耳をフリーにした状態でのノイズキャンセリングにも期待ができる。骨伝導を利用して、中低音のノイズをキャンセルすることも可能となるため、耳をフリーにした状態でノイズをキャンセルできる可能性も高い。
問題は、骨伝導がすべてのユーザーに受け入れられるのかという問題である。イヤホン部分とは別に、頭部に固定される骨伝導に、不快感を示すユーザーは少なからずいるのではないだろうか。
特許の取得は、その物が製品としてリリースされる可能性である。必ずしも製品化されるものではない。