インターネットショッピングを提供する楽天市場やAmazonで買い物を行う際にも、支払い方法をクレジットカードにして大丈夫なのか、曖昧な不安がよぎり戸惑ったことはないだろうか。その不安の原因は、おそらく「この店にクレジットカード情報を渡して大丈夫なのだろうか。請求だけ来て商品が届かないことがあるかもしれない。」というものだろう。
初めて目にするお店、しかも実店舗でもなく、商品が発送される前にクレジットカードで支払いを済ませてしまう そのスタイルは、普段から現金支払いをメインとする日本人にとって不安でしかない。
そこで、楽天市場やAmazonの裏側ではクレジットカード情報はどう取り扱われているのか。不正利用されない仕組みなどはあるのか。その点について、私が実際に見た店側の現状、つまりバックヤードに存在するシステムを紐解いていこうと思う。
インターネットで商品を販売しているをサイトをECサイトといい、その仮想店舗は実店舗と同じように個人で店舗を構えるお店もあれば、ショッピングモールに出店して商品の販売を行うお店もある。そのショッピングモールの役目を担う存在が、楽天市場やAmazon、それにYahooショッピングといった存在だ。
Amazonのプライムとは何
楽天市場やYahooショッピングは、実際の世界でも同じように全くのショッピングモールスタイルを貫いており、ひとつのサイト中に様々な小売店が出店を行うことで運営が成立している。しかし、Amazonはひと味異なり、Amazonが受注から発送までをも行うプライム(Prime) という存在がある。商品の注文画面(注文ボタン) に「Prime(プライム)」の記載がある商品がそれだ。
プライムに分類される商品には、アマゾンが独自に販売する商品もあれば、アマゾンへ出店している小売店の商品をアマゾンが自社倉庫で預かり、受注から発送までアマゾンが代行する物がある。
アマゾンで販売されているPrime表記のない商品はというと、出店店舗に受注情報が流れて それを元に出店者が商品を発送する流れとなっており、プライム以外は楽天市場やYahooと同じ仕組みだ。
インターネット通販でクレカの使用は安全なのか
ここでいう“安全” とは、セキュリティ云々ではなく、「商品が実際に届くのか」といった店舗への不安だ。
インターネットショッピングでのクレジットカード被害は大まかに分けて2種類で、決済後に商品を発送せずに姿をくらます事と、クレジットカードの情報を利用して本人のあずかり知らぬところで不正使用されてしまうことだ。
クレジットカード決済の仕組みは、買い物をする段階でカードの利用可能額や有効期限をカード会社に照会し、購入金額を含めて全てに問題がなければ購入可能となる。この照会を「オーソリ」といい、オーソリと請求確定は別である。
インターネットのショッピングモールで商品を注文すると、ショッピングモールの連携機能がクレジットカードの情報をカード会社に自動的にオーソリ処理を行う。これはカードが使用可能かの判断と、利用可能枠内に請求額を仮置きするためでもあり、この時点では請求は確定していない。
では、どのタイミングで請求が確定するのか。それは商品が発送されてからである。これはショッピングモールのシステムで自動化されており、発送が完了すると自動的に請求が掛けられる。
出店者にクレジットカード情報を公開していないことから、カード所有者があずかり知らぬところで出店者に使用される被害はないだろう。
クレカを悪用されると誰が被害者なのか
商品が未発送のまま請求のみが来てしまう場合や、クレジットカードを利用してカード所有者があずかり知らぬところで使用されてしまった際の被害に関して、カード所有者に大きな非がない限りカード所有者へ被害が及ぶことはない。
大きな非とは、クレジットカードの暗証番号4桁など、他人に知られてはならないと明記されている物を意図的に公にしたことによる過失などだ。また、家族がクレジットカード番号を使用して何かしらの購入をした場合も保険は適応外となる事が多く、返品できる物であれば自力で商品を返品するか、若しくは諦めて請求額を支払う必要がある。いずれにせよクレジットカードの管理には十分注意を払いたいところである。
では、正しい利用方法でクレジットカードを使用したにも関わらず、クレジットカード被害に遭ってしまった場合、一体誰が被害者になるのかというと、それはクレジットカード会社である。正確には、多くのクレジットカードには盗難保険が付帯しており、その保険を請け負う会社が被害者となる。盗難保険と言えば、クレジットカードが盗難された際に効力を発揮する保険のように思われがちだが、カード番号を悪用した詐欺にも有効な場合がほとんどである。
問題となるのは、盗難保険の適応には被害に遭ってから申告までに期日が設けられている点で、その日数を過ぎた申告に関してはカードの利用者が被害を受けることになる。この日数に関しては、個々のクレジットカードにより異なり、おおよそ2ヶ月前後がベターな期日となっている。保険の限度額なども含めて、クレジットカードの利用規約書や公式サイトのQ&Aで確認しておくといいだろう。
ショッピングモールでのクレジットカード利用率
楽天市場やAmazonといったショッピングモールでのクレジットカード利用率は、私の聞く限りでは9割を超えているようだ。残りの1割はモール事に特色があり、Yahooショップは比較的代引きを好み、楽天市場ではコンビニ決済が多いように伺った。ターゲットが異なるためかカード以外の決済には若干の違いがあるようだ。しかし、このデータに関しては私がお話を伺った数店舗のものであり、店舗のカテゴリや客単価が異なれば この利用傾向には差が出そうである。
余談だが、決済方法で怪しまれるお客さまの存在があるそうだ。それが、代引きや銀行振り込みを希望するお客さまの存在。その理由を探っていくと、安易な気持ちでポイント詐欺を行おうと企む輩や、イタズラ注文で商品の受け取り拒否や 全く見知らぬ宅へ届けて店舗へ損害を与える注文が横行した時期があったためだ。代引きや銀行振り込みが悪いとは言わないが、悪質ないたずらからリスクを避けるために決済方法から代引きの除外や、銀行振り込みでは振り込みを確認するまでに商品を抑えない店舗が多く、メリットの少ない決済方法にみえる。
独自店舗とショッピングモールどちらが安全なのか
間違いなくショッピングモールである。商品ページの基礎部分から受注管理までシステム化を行い一丸管理されているショッピングモールでは、店舗がクレジットカード番号を把握することはない。出店に際しては店舗の詳細情報を提供する必要があり、出展中は各店舗へ専属のECコンサルタントが定期的にコミュニケーションを取っている安心感も強みの一つだ。
また、ショッピングモールでは、各店舗とお客様のメールのやり取りを保存できる体制でいることから、万が一の際にはショッピングモール側が状況を把握しやすくなっていることも強みの一つだろう。
それとは反対に、独自店舗ではすべての情報が店舗へ筒抜けとなるケースが一般的となる。正しい商いを行う店舗がほとんどではあるが、詐欺を目的として情報を収集しようとする店舗も存在するため、その見極めができないのであれば使用するのは控えた方が無難だ。昨今多く被害が出ているケースとしては、有名店舗のコピーページを作成して詐欺を試みるサイトや、かなりの割安な価格で商品を販売しているように見せかける詐欺ページの存在で、そのサイトが本当に正しい商いを行うページなのかを一般人が判断するのは非常に難しいものとなっている。
ショッピングモールは、Webサイトの基礎知識があれば開店することができる事から、お店とお客様の橋渡しとして数多くの方から愛されている。出店する小売店は、モールへ手数料などを支払うため、独自経営のECページよりは商品単価が割高になるケースが少なからずあるのかもしれないが、価格と安全性のみを天秤に掛けることは絶対にオススメしない。