Appleが2021年モデルとしてリリースしたApple TVの第6世代は、映像を映し出すテレビの色合いを補正するためのキャリブレーション機能が備えられている。
しかし、この機能を利用することで、出力される映像が意図しない色味に変化する可能性がある。
テレビのキャリブレーターを生業とするVincent Teoh氏は、YouTubeのHDTVTestでApple TVのキャリブレーション機能について触れた。
Teoh氏は、キャリブレーション機能を様々なテレビでテストしたところ、流通量が多い人気モデルのテレビについてもキャリブレーションで誤判定が出た。
同氏は、放送業界や映画業界でプロが使用する高基準のマスタリングモニターにもApple TVのキャリブレーションを試みたが、一般的なテレビのテストと同様に色意のずれが生じる結果となったと伝えている。また、キャリブレーションによって色味の補正が正しく行われたケースでは、そのほかの補正で画質が劣化してしまったようだ。
テストが行われた一般向けのテレビは、サムスンのQLEDテレビ、ソニーのLEDテレビ、LGの有機ELテレビの3タイプ。
まず、サムスンとLGのテレビについては、トータルで見たときに色味は向上したが、全体的に青みが強い寒色系カラーとなった。ソニーのテレビについては、補正された色味が正常ではなく、サムスンと同様に青みの強い色合いになったようだ。
なお、テレビ標準状態のカラープリセットでキャリブレーションをやり直したところ、先で紹介の3モデルのテレビすべてで色補正の精度が向上している。ただし、色味の精度が向上すると、ほかの部分が悪影響をおぼよしてポスタリゼーションによる画質の低下が見られたようだ。
ポスタリゼーションとは、表現される色の階調が雑になることを指す用語。たとえば、100色で表現されていた同様の色味が50色程度に抑えられるなど、のっぺりとした印象の映像となる。
Appleは、今後のアップデートでキャリブレーション機能の改善を図る可能性はあるが、現状キャリブレーションを行った場合には、画質の低下あるいは青みの強い色合いになる場合があるため、この機能はしばらくの間使用を控えた方がよさそうだ。
Via: AFTVnews