Appleが2020年モデルとしてリリースしたiPhone 12シリーズは、従来のモデルよりもアップグレードされたカメラシステムを内蔵して登場している。
そのカメラ性能や、動画で必須条件となるマイクの性能について、動画で撮影比較を行ったのはMacRumors。MacRumorsは、iPhone 11 ProとiPhone 12 Proを用いて同時に撮影を行い、その性能の違いを明確にした。
iPhone 12 Proのカメラシステムには空間を三次元情報として捉えることができるLiDARスキャナーが追加され、ナイトモードやDolby Vision HDRでの動画撮影が可能となっている。
ただ、残念なことに、iPhone 12 Proのカメラシステムは非常に優れた進化を遂げて登場したが、人によっては否定的な捉え方をする人も出てきそうである。
私の率直な感想を述べると、iPhone 11 Proのカメラシステムは玄人向けであり、万人受けするカメラシステムがiPhone 12 Proである。ただし、この感想は、性能比較の動画のみで判断したものである。
iPhone 12 Proが万人受けするカメラシステムだと感じた理由は、画質の方向性である。暗所に強くなったiPhone 12 Proは、室内撮りをメインとする撮影で本領を発揮し、ノイズがiPhone 11 Proで撮影されたものよりも少なく写し出されていた。
しかし、明るい時間帯に屋外で撮影されたものを確認すると、iPhone 12 Proで撮影されたものは、切り取られた光景に深みがなく、全体的に明るくのっぺりとした印象を受けたのである。
これはカメラが持つ癖の可能性がある。暗い場所に重点を置いたシステムは、いくら補正をしたところで明るい場所をナチュラルに表現することは難しい。この癖は、スマホ特有というわけではなく、プロ向けの一眼レフカメラでも同じような特徴が出る。カメラが持つ特徴は、Photoshopなどで修正を行っても特性として残り、消えることはない。
iPhoneのカメラシステムが、まったく新しいカメラシステムだと捉えられる人にとっては素直に喜べる進化である。しかし、正統な進化を遂げているはずだと考えている人にとっては違和感を抱く可能性がある。
何を撮影しても、さほどノイズが乗らないという点で、iPhone 12 Proは万人に美しい写真を提供することが可能である。
マイクに関して、iPhone 12 Proは周囲の環境音をナチュラルに表現する傾向にあり、肉声についてはiPhone 11 Proに劣ると感じた。iPhone 11 Proが集音した音声は、人が目の前にいるような声の中音が表現されている。高音域が飛んでいるからなのだろうか。
表現するならば、iPhone 12 Proは空間全体の音に対して反応をしており、iPhone 11 Proはカメラの前に対して集中している感じを受けた。
こうして言葉にしてみると、iPhone 12 Proのカメラシステムについては、少し悪い印象を受けてしまいそうだが、そう悪いものでもなさそうである。
可能性としてカメラの癖を説明したが、Appleが公開した動画では、カメラの特性が全体的に抑えられており、撮影の方法や編集次第ではiPhone 11 Proのカメラシステムよりも表現性が高まる素質を持っているようだ。
結論。iPhoneは、誰もが使用するデバイスであり、誰しも美しい写真が撮れなければならない。美しいとは、ノイズが乗っていない写真や動画のことであり、プロに近い表現を行うには、プロ同様に多少設定の変更や編集を行う必要があるカメラシステムがiPhone 12 Pro。