ヘンリーフォード心臓血管研究所の循環器専門医Gurjit Singh氏らは、Apple製のデバイスが医療機器へ与える影響についてテストを実施した。
このテストを行った切っ掛けは、昨年2020年に販売されたスマートフォンのモデル別台数で、全販売台数のうち約4分の1がiPhone 12シリーズだった。
iPhone 12シリーズは、これまでのiPhoneとは異なり、背面に無数の磁石が埋め込まれている。これは、Appleが提案するワイヤレス充電機能MagSafeの充電器をiPhoneに貼り付けるために利用されている。
そして、米国では年間30万人以上がペースメーカーの移植手術を受けおり、体内に埋め込まれるデバイスによっては、外部の磁石がペースメーカー本体のスイッチ制御を担うものがある。
Singh氏らは、iPhone 12シリーズに埋め込まれた磁石の影響が、ペースメーカーのスイッチ機能に影響を与える可能性を調べた。
その発端は、iPhoneを持ち歩く際の収納場所である。iPhoneをズボンのポケットに入れる人もいれば、ペースメーカーが近くにある胸ポケットへ仕舞う人もおり、もしiPhoneを胸ポケットへ入れた場合、ペースメーカーに影響を与えるリスクはあるのか検証したわけである。
Singh氏が伝えた結果によると、iPhoneは外部から磁石で操作するペースメーカーに影響を与える可能性が高い。
実験で、ペースメーカーと除細動器を埋め込んだ患者の胸元にiPhone 12 Proを近づけたところ、除細動器が停止したという。外部の除細動器のプログラマー上で、デバイスの機能が中断され、iPhoneを引き離すまでその状態が続くことを確認したそうだ。iPhoneを胸から離すと、除細動器は直ちに通常の機能を取り戻している。
Singh氏らは、電話が持つ磁石の力を利用してペースメーカーの磁気スイッチを動作させるには不十分と考えていたため、結果を見た全員が唖然としたと伝えている。
今回の発見は報告書にまとめられて、2021年1月1日に発表された医学誌HeartRhythmに提供されている。
なお、Appleは2020年10月に、iPhoneユーザーガイドを更新し、iPhone 12シリーズに搭載されたMagSafe充電機能について記載を行った。
Via: MacRumors, NBC25 News