「mailto:」から始まるメールアドレスにメールが送信できない。日常的にメールの送信を行わない人は知らなくて当然だろう。しかし、普段からメールを使う人にとっても凡ミスをしやすい存在がmailtoである。
ある日、知り合いから「メールの送信ができない」と救助を求められた。原因が不明の症状で悩まされているらしい。いくら送信しようとしても文字化けしたり、送信したはずのメールが送信できていなかったりするという内容である。
詳しい話を伺っていると、そのメールアドレスは確実な人から転送されてきたメールに記載されていたもののようである。転送されてきたメールの原文に記載されていた相手のメールアドレスをコピーしてメールの送信を行ったところ、メールの送信が正常に行われないということだった。
私が聞いた内容の一部をそのままお伝えしよう。「メールアドレスに変なチョンチョン(点々)が縦に並んでいて、これが原因かもしれない。でもメールを転送してきた人には、メールアドレスに間違いないといわれた。」とのことである。
確かに、ドコモなどの携帯電話会社が提供する一部のキャリアメールでは、通常メールアドレスに使用する事のできない文字列(文字配列) が設定できることもあり、希にパソコンからメールの送信ができない宛先が存在する。その様なこともあり、送信ができない相手先は携帯電話のアドレスなのではないのかと尋ねたところ、会社のメールアドレスという返答がきたのだ。詰んだ。
質問をしてきた人は、もう何十年もお勤めをなさるベテラン中のベテランである。機械に詳しいというほどの人ではないが、毎日のメール送受信業務も行っており、一般的な知識かそれ以上のものを有している人だ。そんな人に私ごときが易々と「mailto: から始まるメアドじゃないの?」などと聞くのは気が重かった。しかし、このままではお互いの仕事に支障が出てラチがあかないため、勇気を振り絞り疑った凡ミスの内容を聴いてみたところ…図星。ベテランが、あろうことかmailtoから始まるメールアドレスをそのままコピーして送信先に貼り付けていたのである。
気をつけよう。mailtoから始まるメールアドレスは、メールアドレスの一部ではなく、それがメールアドレスであることを示す単語、名称なのである。tel:090●●●● といった電話番号に電話を掛けるときに、telを含めて電話番号だと認識するだろうか。つまりそれなのである。電話を掛ける際にはtelを省いた数字のみを入力するのと同じように、mailto: から始まるメールアドレスは、それ以降の文字列がメールアドレスとなる。
最近では見かけることが少なくなった文字列に、ベテランでもミスをする時代。メッセンジャーアプリやSNSの浸透で、以前よりもメールというものへの執着が薄れてきている。是非心に留めておいておきたい。mailtoはメールアドレスの一部ではない。
少々 話が逸れるが、最近急増しているメールのトラブルが他にもある。それが、容量の大きなファイルを添付した際に、送信ができているのに相手へメールが届かないトラブルである。送ったメールは送信済みトレイにあり、エラーが返ってくることもないため、送信者はメールが相手先へ届いていないとは思いもせずにトラブルになるケースがある。
このトラブルはなぜ起こるのかというと、従来の郵便物と同じ原理である。送り主が郵便物を赤いポストへ投函すると、郵便局員が相手先の郵便受けへ届けてくれる。もうお分かりいただけただろう。相手先の郵便受けにも収容能力が決められており、それ以上の大きさの荷物は届けることができないのだ。他の郵便物で容量が小さくなっていることもあれば、ご自身が送信した添付ファイル自体が郵便受けの大きさを上回っている場合もある。
では、添付ファイルの上限はいくらなのかというと、経験上で目安しかお話ができないが、おおよそ2MBまでが限度である。もちろんGmailなど、添付ファイルが大きくても受け付けるような頼もしいシステムも存在しているが、一般的な会社間のやり取りなどでは、あまりにも大きな添付ファイルは受信できないことがある。