子どもの晴れの舞台を収めるために一眼レフを持ち出す親御さんも多いはず。失敗してはいけないという焦りと、1年に一度しかない一発勝負というプレッシャー…。
だが問題ない。ポイントを抑えれば、運動会ほど撮りやすいモノはないのだ!
風景写真で挫折しそうなくらい手ぶれを味わったことにある方でも、運動会で手ぶれすることは まずかなり少ない。日陰などで10枚中7枚くらいぶれる方なら そのカメラで8枚以上はぶれずにシャキッとした写真が撮影できるはずだ。
運動会が開催される日は、最悪でも曇り空。太陽を遮る物のないグラウンドは、写真を撮るには絶好の場所なのだ。
曇りは曇りで逆光の心配をする必要もなく後の編集が楽だし、晴れていれば臨場感のある写真が撮れる。どっちに転んでも失敗が少ない動きのある良い写真が撮れるチャンス。
そこで色々試した結果を踏まえて、何種類かのシャッターポイントでの構図など、私が「失敗できない…(震え声」と思いながら実践していることを参考程度に書いていこうと思う。
装備
- カメラ本体
- 望遠レンズ
- バッテリーグリップまたは予備のバッテリー
簡単に言えば上記の3つで問題なく撮影ができる。三脚は使わない。
望遠レンズに関しては小学校の場合は250mm(APS-C機の場合)までを限度に それ以上は必要ない。手持ちでそれ以上ともなると手ぶれの発生確率が大幅に増えるからだ。手ぶれをするくらいなら積極的に寄って撮る事を基本にしている。
今回 撮影に使用したカメラは、ペンタックス製。AFが遅いことで定評のあるペンタックスでもAF追尾ができるので、大半のカメラで綺麗な写真が撮れることだろう。
※APS-C機での撮影を行ったため、写真下部に記載の焦点距離は、フルサイズ機の場合、おおよそ1.5倍の焦点距離になる事を予めご理解いただきたい。
撮影する高さ
上から目線よりも下から目線。上からの目線では風景を撮影しているような写真になってしまうので、地面に座って撮影することを基本に撮影を進めていく。主役は子ども。風景に写る子どもを撮影するのではなく、子どもを主体としてその前後に風景がある。
目線を低くすることで、低学年を撮影する場合は目線の高さになり一生懸命頑張っている姿を余すことなく写真に焼き付けることができ、高学年を撮影する場合は勢いのある臨場感を演出することができるからだ。
撮影分けは5種類
撮影をするにあたり、構図や撮影ポイントなどを5種類に絞り込む。開会式、徒競走、リレー、ダンス、玉入れ。このポイントを抑えておくことで、他の種目にも柔軟に対応できるのではないかと考えている。
開会式
焦点距離:200mm
写真向き:横
撮影ポイント:斜め
カメラ:プログラムオート
測光方法:スポット
ピント調整:シングルモード
ポイント
開会式は我が子を撮る目的よりも “今何年生” という事を知る表紙。写真全体のバランスをよく考え、プラカードが写り込むように撮影したい。
人が多く集まると陰影ができ明暗の差が激しくなることで、カメラが暗めの写真を収めてしまう。カメラや構図によっては逆に白飛びするほどの明るい写真になる場合もある。その点を考えると測光方法はスポット測光として、全体的には明るめの撮影をする。
今回の撮影では低学年をメインにしたため、シャッター速度優先にしてみた。動きに無駄が多く素早い場合は、開会式もシャッター速度優先にした方がまとまりが良さそうだ。
焦点距離:200mm
ちなみに開会式などで、まとまったグループを局所的狙う場合は、縦向きの写真でマルチパターン測光を使用し、全体が写るように撮影すると そこそこ良さそうな写真が撮影できる。
徒競走
焦点距離:200mm
写真向き:横
撮影ポイント:横または斜め
カメラ:シャッター速度優先(1/1600)
測光方法:マルチパターン測光
ピント調整:追尾AFモード
徒競走は引き気味に、全体の大半に風景が写り込むように撮影する方が、流し撮りをするよりも確実に綺麗な一枚がゲットできる。
リレー
焦点距離:100mm
写真向き:縦
撮影ポイント:斜めまたはコーナーの入り口
カメラ:シャッター速度優先(1/1600)
測光方法:マルチパターン測光または中央部重点測光
ピント調整:追尾AFモード
コーナーの入り口は出口よりもシャッターポイントが決めやすく勢いのある写真が撮れるのでオススメだ。逆光でも全然構わないので、とにかくコーナーの入り口付近に撮影ポイントを置くことを目標としている。
焦点距離100mm
カメラを向けられて緊張しているためか、このポイントでよくクラッシュも起こる。相当良いカメラとレンズを用意しない限り、追尾AFが追いつかない事も想定できるので、追尾AFでピントがずれてきたと思ったら即座にシャッターボタンから指を離して再度ボタンを押してAFを復帰させるように心がけたい。
ダンス
焦点距離200mm
写真向き:横
撮影ポイント:正面
カメラ:シャッター速度優先(1/1600)
測光方法:スポット
ピント調整:置きピンまたはマニュアルモード
運動会の中でカメラが一番苦手とするのがダンスだ。手足の動きが大きく、顔にピントが合いにくい。というか、合わない。測光もマルチでは合いにくいパターンの方が多いため、必ずスポット測光で撮影したい。
ちなみに私は今回失敗をした。真正面から狙う方が圧倒的に多く、陣取りに間に合わなかったのだ…。そのため斜め横からの撮影となった。明るさや多少の色合いは補正できるが、これだけは補正のしようがない。
玉入れ
焦点距離:100mm
写真向き:横
撮影ポイント:正面
カメラ:シャッター速度優先(1/1600)またはプログラムオート
測光方法:マルチパターン測光
ピント調整:シングルモード
玉入れは全体的にフワッと撮影するのが望ましい。あちこちに人が入り乱れる玉入れで、目標の人物を撮影するのは困難だからだ。玉入れ終了後に玉を数えるために大きく投げ上げられた瞬間を撮影するのも構図としては面白いかもしれない。
最後に
撮影するにあたり、ズームを何ミリに設定するかなんて関係ない。確かにポートレートなどでは70mmから100mmが好ましいとか、歪んで見えないのは50mmなんてことがよく言われているが、一発勝負の現場では そんなことよりも必要としてる構図へ即座にズームして身構えることの方が大事になる。
大切にしたいのは、カメラのモードと、測光方法。それにピント調節方法だ。
ホワイトバランスに関しては触れていないが、オートの状態でニュートラル撮影を心がけたい。被写体が太陽の下で動き回る子どものため、癖のない色合いで清潔感を出せれば自ずと思い出深い写真が撮れるだろう。