Appleは2020年モデルとしてリリースしたiPhone 12シリーズの月間製造目標を引き上げた可能性がある。
その理由は、LGディスプレイが、生産ライン変更である。具体的には、iPhone用の有機ELディスプレイを増産するために、製造ラインの見直しに取りかかっている。
TheElecは、LGの内通者から得られた情報として、パジュ市のE5生産ラインを転換することを検討していると伝えた。
現在E5ラインでは、自動車やウェアラブルデバイス用のOLEDパネルの生産を行っているという。
生産能力は、現時点で月間1万5000枚。これは、現在iPhone用パネルを製造しているE6-1とE6-2を合わせた基盤生産能力であり、新たにE5ラインをiPhoneに用いた場合、月間の合計生産能力は3万枚となる。
歩留まり率が80%の場合、年間約3600万枚の6インチパネルを生産することになるようだ。歩留まり率とは、生産能力に対して、実際に得られた生産数。生産数は、Appleからのオーダー次第となる。
また、LGは、2022年の始動を目指し、現在のE6にもラインの増設を予定している。新たなラインはE6-3で、後工程設備の投入は、早ければ2021年9月頃になる見込み。
なお、この生産強化について、LGディスプレイはAppleへ計画書を送っているが、クパチーノは検討中でありゴーサインは出ていない。
新たに作られるラインは、歩留まり率の低下を招く原因にもなりかねないが、生産に余裕を持たせることも可能となるため、iPhone 12シリーズからiPhone 13シリーズへの生産移行にも応用が効きやすくなるメリットがある。
Appleは、iPhone 13シリーズとして登場する4タイプのうち、2タイプについてLPTO TFT有機ELパネルを採用する予定であり、余裕を持たせ製造ラインでは、歩留まりで空いている部分から順次新型への切り替え対応が可能となる。
ちなみに、LPTOは、低温多結晶シリコンである。TFTは、薄膜トランジスタ。LPTO方式TFTは、低消費電力のディスプレイとして、バッテリーの持続可能時間を飛躍的に延ばす可能性が大いに期待されている。